月夜に花が咲く頃に
――――陽向が私の家に泊まるようになってから、数日がたった。



陽向は暁が大変気に入ったらしく、幼稚園の後はいつも暁の倉庫に行きたがる。



特に陽向が気に入ったのは、光だった。



「光ー!肩車、またやって!」


「おー、しょうがねえなあ。おらよ!」


「うおー!すっげえ高え!」



精神年齢が一緒なのかな、多分。


倉庫に来る度こんな調子だ。



「陽向くん、すっかり光に懐いちゃったね」


「うん。家でも光の話ばっかりだよ」



楓がそっか、と笑う。



ちなみに、陽向は楓にも懐きつつある。



「陽向くん、今日はどのお菓子食べる?」


「やったー!お菓子!」



・・・・・・餌付けに近いけどね。



楓のことは、美味しいお菓子をくれる優しいお兄ちゃんみたいに思ってるみたいだ。




そういえば、紅雅と陽向が話してるのはあんまり見たことないかも。



陽向から紅雅に話しかけることはたまにあるけど、紅雅から陽向にってことはゼロ。


陽向が話しかけることに対しても、最低限の単語しか返さないし。



陽向もよくそんな対応されてめげないなと思うくらい。



< 207 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop