月夜に花が咲く頃に

「京極!この資料もお願いしていいかー?」


「あ、京極!悪いんだが先生の代わりにこれ資料室に持ってってくれー」


「お。京極」


「よ、京極」


「京極ー」



「・・・・・・最悪だ」



あれからというもの、先生がひっきりなしに頼み事とか面倒ごとを持ってくるようになってしまった。


先生からの頼み事とか、一回でも引き受けちゃいけない。


絶対こうなるから。


使っていい人認定されちゃうから!



最近そのせいで陽向のお迎えも光に頼んでばかり。


それどころか、仕事が多すぎて家に持って帰って夜遅くまでやるようにまでなってしまった。


本当に最悪だ。



今日も学校で終わらなかった資料を抱えて暁の倉庫に陽向を迎えに行き、家に帰る。



お風呂から上がってリビングに行くと、陽向が心配そうに私を見てきた。



「姉ちゃん、大丈夫?最近忙しそうだし、なんか疲れた顔してるよ」



・・・・・・ついに弟にまで心配をかけてしまうとは。


だめだ、私情けない。


しっかりしなきゃ!



「だーいじょうぶ!お姉ちゃんは元気だよ。心配かけてごめんね?」


「・・・・・・ならいいけどさ。俺、何か手伝えることない?」



な、なんて健気な子なんだ・・・・・・!


私はそんな弟がいるだけで幸せだよ。



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