月夜に花が咲く頃に
高校につく頃にはもうすっかり日は沈んでいた。



息を切らしながら裏門の方へ足を進めていると、何やら話し声がした。



もしかして、陽向・・・・・・!?



「ひなっ」


「しっ」



名前を呼ぼうとしたけど、とっさに後ろから口を塞がれてそのまま後ろに倒れ込んだ。



「な、なに、」


「しー。今陽向くんと紅雅がしゃべってる」


「か、楓?」


「うん。光から連絡受けて、こっちに紅雅と走ってきたんだ」



横には脇腹を抱えてうずくまっている光。



・・・・・・何してんのこいつ。



「ああ、光は大丈夫だよ。大声上げようとしているところをちょっと殴って止めただけだから」



ああ、なるほど。



とりあえず陽向が無事だったことにほっとする。



でも、なんで出て行っちゃいけないんだろう。



楓はニコッと笑ってちょっと静かにしてて、としか言わないし。



しょうがないから黙って2人の様子を見ていると、2人の話し声が聞こえてきた。



「・・・・・・俺は、やっぱ弟だから頼りねえのかな?」



・・・・・・聞こえてきたのは、陽向の本音だった。






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