月夜に花が咲く頃に
「また雫ちゃんの手当てしないといけないしねえ」


「京極さんには、聞きたいこともあるしね」


有無を言わさず近くに停めてあった車に乗せられる。


逃げようにも鬼神ががっちり掴んで離さないし、そもそも怪我のせいか身体が上手く動かない。


なんの抵抗も出来ないまま、私はまた暁の倉庫へと足を踏み入れることになってしまったのである。








「いっ、」


「ごめん、しみる?もうちょい我慢して」


倉庫に着き、前とは違う部屋で明原から治療を受けている私。


相変わらずの手つきで、明原はテキパキと治療してくれた。


「よしっ、とりあえずはこんな感じかな」


「あ、ありがと・・・・・・」


まさか二度も治療してもらうなんて。


ていうか、これは完全にばれた、よなあ。


ああ、もうどうしよう。


こんなつもりじゃなかったのに。


本来関係ない人に嘘ついて、迷惑までかけて。


私、ほんとに何やってるんだろう。


「さて、京極さん。もう一度君に聞くよ。君は、ヨルだね?」


もうごまかすことなんてできない。


現場を見られてしまったし。


私は、小さく頷くことしか出来なかった。


私の反応を見て、奥山は優しく笑う。





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