月夜に花が咲く頃に
電気をつけていないせいで、部屋が薄暗い。


唯一の明かりだった廊下から漏れる光が、部屋の中をぼんやりと照らしていた。


「なんであんたが寝るために私まで連れてきたのさ・・・・・・。ていうかここ、なんの部屋?」


「俺の部屋だ」


鬼神の!?


何でそんなところに私を連れてきた!


「もう遅い。ここで寝ろ」


「ここでって、あんたはどこで・・・・・・」


言いかけたその時、鬼神が部屋のドアを閉めた。


真っ暗で何も見えない。


横から腕を捕まれて、強制的に横にさせられた。


そのまま身体を引き寄せられ、ふわりと抱きしめられる。


「なっ、」


「痛くねえか」


頭上から聞こえた鬼神の低い声に、鼓膜が震えて耳が熱くなる。


「痛くは、ない、けど」


「ならいい」


それだけ言って、鬼神はもう黙ってしまった。


・・・・・・なんなんだ一体。


鬼神の行動に謎が多すぎて頭が回らない。


でも鬼神の腕の中は暖かくて、なんだか力が抜けて。


とたんにどっと眠気が襲ってきた。


疲れがたまっていたのだろうか。


それとも、けっこう怪我をしてしまったからかな。


分からないけど、すごく眠たくて。


私は睡魔に負けて、すぐに寝息を立てて寝てしまったんだ。







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