月夜に花が咲く頃に
一応鬼神と奥山はここ、1年B組の生徒らしいが、案の定教室に入ることなくどこかへ行ってしまった。


「しっかし、何がそんなにいいんだかねえ。確かに美形揃いだとは思うけど、暴走族なんて、野蛮じゃーん」


翼は自分の髪をくるくるともてあそびながら、興味なさげに目を伏せる。


「ちょっと悪い男って、やっぱモテんのかなあ?私的には、もっと王子様っぽい爽やかな人がタイプなんだけどっ」


ねっ、とくりくりした目を片方閉じて、ウインクする翼。


そういうのは私じゃなくて男にすればいいのになあ。


かわいいのに。


「まあ、好みは人それぞれなんじゃない?」


私も興味ないけど、と笑って翼を見返すと、翼はぼっと顔を赤くして、うつむいてしまった。


「不意打ちは反則ぅ・・・・・・」


「何訳わかんないこと言ってんの」



先ほどまでうるさかった廊下に、ふと視線をやる。


暁、か。


まあ、私には何の関わりもない連中だ。


それに、そんな奴らにかまっている暇はない。


私は、私のやるべきことを、しなければ。






『雫のことは俺が守ってやる』









必ず、探し出してみせる。







改めて決心したその時の私は、まだ、分かっていなかった。




これから、その最強の男達と、交わりをかわすことになるなんて・・・・・・。












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