月夜に花が咲く頃に
幹部室に行くと、雑誌を読んでいる奥山と、ソファで頬杖をついてうとうとしている鬼神がいた。


「あ、京極さん。お帰り」


「た、ただいま?」


で合ってるのか?


いや間違ってるよね。


ここ私の家じゃないし。


「鬼神と話したいことがあるんだけど」


気持ちよさそうにうたた寝している鬼神を睨みながら言うと、鬼神の閉じていたまぶたがうっすら開いた。


いちいち仕草が無駄にエロいんだけど。


まだちゃんと開いていないまぶたが長いまつげを強調させる。


くしゃっと無造作に前髪を上げる手がゴツゴツしてて。


ボタンが開いたシャツから見える鎖骨が、嫌でも目に入る。


「何見とれてんだ」


鬼神の言葉にハッと我に返る。


「なっ、見とれてないわ!」


慌てて否定したけど鬼神は意地悪な笑みでこちらを見てくる。


ほんとにむかつくなこいつ。


「京極さん、お茶どうぞ」


いらつく私に奥山は温かいお茶を差し出してくれた。


「あ、ありがとう」


素直に受け取り、一口飲む。


うん、おいしい。


・・・・・・って、そうじゃなくて!


「ちょっと鬼神、明原から聞いたんだけど、仲間になるってどういうこと?」







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