月夜に花が咲く頃に
――――キーンコーンカーンコーン・・・・・・



授業の終わりの合図がなる。


生徒達がガタガタと席を立っていく中、翼がとことこと近づいてきた。


「雫!かーえろっ」



「あれ、翼今日は部活ないの?」


翼は運動神経抜群で、バレー部に入ってる。


いつも放課後になると、楽しそうに体育館へ向かうのに。


「今日は体育館使えないんだって。なんかの点検とか言ってた」


「そうなんだ」


そういうことなら、と私も席を立って帰路につく。


通学路の途中にある公園の桜の木は、もう花は散り、青々とした葉を広げていた。


「あれ、あの子達、なにやってんだろ」


「え?」


翼が指さす方を見ると、公園で遊んでいる子供の一人が、木に登ろうとしていた。


木の上を見ると、枝にボールが引っかかっている。


「おーい、危ないよー!」


翼が子供に向かって叫ぶが、子供の耳には届いていないのか、どんどん木を登り始める。



嫌な予感がして、かけだした。


「あ、雫っ、・・・・・・って、危ない!」


足を滑らせた子供が、落ちていく。


すべてが、スローモーションに見えた。


――――ズザアアアッ


「雫!」


「いってえ・・・・・・」


華麗にスライディング!・・・・・・するも私は間に合わず。


我に返って顔を上げれば、そこには泣きじゃくる子供と、その子供を抱えているド金髪の男がいた。








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