月夜に花が咲く頃に
「えー、寂しいこと言わないでよ。何なら今からギャルちゃんのお相手しようか?」


「ぎゃー!キモい!最低!近寄らないで!」


・・・・・・一周回って仲がいいようだ。


「ほんとに何やってたのさ。こんなところであんたみたいな高校生が一人でなんて、不自然でしょ」


私がため息交じりに言うと、一瞬だけ顔を引きつらせてから、明原はまたいつもの笑顔に戻った。


「・・・・・・ほんとに、たまたまだよ?」


そう言った明原の声は少し尖っていて。


これ以上触れるなと、警告しているみたい。


肌が、ぴりつく。


「・・・・・・あっそ」


ただのチャラ男、というわけではなさそうだ。


「そうだ、さっき雫ちゃんスライディングしてなかった?肘とか、痛そうだよ」


明原が私の肘を指さす。


見ると、少し血がにじんで砂が混ざっていた。


「あ、まあ、そんなたいしたものでは・・・・・・。なめときゃ治る」


「男前だねえ。でも、ちゃんと洗って消毒しなきゃだめだよ」


そう言った明原はよいしょ、とベンチから腰を上げて、私の前まで来た。


「・・・・・・?なに、」


「ちょっとごめんねっと」







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