月夜に花が咲く頃に
「あ、あの、さらしも取らなきゃ、だめ?」


「取らなきゃちゃんと見れないだろ」


鬼だこいつ。


ほんとに鬼だ。


「なんなら脱がして・・・・・・」


「結構です」


うう。


羞恥心でいっぱいのまま、さらしをほどいていく。


ほどいてすぐに脱いだ服で前を隠した。


「ぬ、脱いだ、よ・・・・・・」


恥ずかしさのあまり震えた声が出る。


後ろから、明原が近づいてくるのがなんとなく分かった。


「・・・・・・やっぱり、赤く腫れてるね」


触るよ?と一度断ってから、明原は私の背中にそっと触れた。


「っ、」


「痛い?」


「だい、じょうぶ、だけど、」


なんか、痛いとは別に、ぞくぞくする。


ぎゅっと目をつむって終わるのを待っていると、突然背中をつう、となぞられた。


「ひゃんっ!?」


思わず身体をのけぞらせるけど、明原はお構いなしに続ける。


「雫ちゃんの背中、よく見たら傷だらけだ。これ全部、ヨルの時につけられたの?」


「ちょ、他の傷は関係ないでしょ、んっ」


不意に腰のあたりを触られて、声が漏れる。


しばらく背中を触られ続け、訳の分からない感覚に溺れそうになったその直後、ふわりと何かを肩にかけられて、背中にひやりと冷たいものが当たった。


これ、明原のシャツ・・・・・・?


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