月夜に花が咲く頃に
「あれ、雫じゃん。楓と何話してたの」


「・・・・・・」


噂をすれば、なんとやら。


二人が並んで歩いてきた。


「紅雅、光、今日雫ちゃん、倉庫に来ないって」


「え、なんで?」


「友達と試験勉強するんだってさ」


「・・・・・・そうか」


珍しく紅雅は素直に頷いてくれたけど、光はなぜか顔を青くして口をあんぐりと開けていた。


「期末、試験・・・・・・」


ああ、光もバカなのか。


「そういえば、紅雅と楓は勉強得意なの?いつも授業に出てるイメージあんまりないんだけど」


「俺と紅雅は勉強はできるよ」


「できねえバカは光だけだ」


「バカって言うなああああ!」


「光はバカなんだね」


「雫まで酷くない!?ねえ!」


しょうがない、バカなんだから。


「うう、そんなに言うなら、勉強教えてくれたっていいだろ・・・・・・」


光がいじけてブツブツ言っていると思ったら、何かひらめいたのか急にハッと顔を上げて、私を見てからにやりと笑った。


「雫、友達って、前のギャルちゃん?」


「え?ああ、翼だけど」


「よし、じゃあ俺もその勉強会、参加する!」


「「はあ?」」


思わず楓と声がハモってしまった。


いや、何を言ってるんだこいつは。


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