月夜に花が咲く頃に
「光、何言ってんだよ」


「だって、その方が効率よくね?それに俺、雫の家行ってみたいし!」


「いや、そもそもなんで私があんたに勉強教えなきゃいけないの」


「いいじゃん!俺らの仲じゃん!」


どんな仲だ。


「それに、楓だって、もう俺の勉強付き合うの大変だろ?」


「まあ、中学の時は本当に苦労したからね」


どうやら中学では楓が光の先生役だったようだ。


紅雅も勉強は出来るらしいけど、教えるには向いてなさそうだもんね。


「んー、まあ確かに、俺も光の勉強を一人で見るのはしんどいなあ」


「だろ?俺も楓のスパルタ教育もうこりごりだし」


「なんか言った?光」


「い、いや、冗談です」


にっこりと楓が黒い笑みを浮かべる。


おお、怖え。


「光が行くなら俺も行く」


「え、紅雅まで?」


「文句あんのか」


「いや、文句っていうか・・・・・・」


そもそもあんたらも来ること決定なの?


なんか全員来る雰囲気になってるけど、私、いいなんて一言も言ってないんだけど。


「じゃあ、今日は雫の家で勉強会!ってことで、よろしくな!」


ああ、そうでした。


こいつら、一度決めたら聞く耳持たない奴らだった。


勝手に約束を取り決めて、どこかへスタスタと去って行く三人の背中を見送る。


こりゃあ、翼がご立腹になりそうだなあ・・・・・・。


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