月夜に花が咲く頃に
「2人とも、喧嘩してる場合じゃないんじゃないの」


「「だってこいつが馬鹿にするから!」」


だから仲良しかっての。


喧嘩は止まりそうにもなく。


なんのために今日集まったんだか。


深くため息をついていると、不意に私の向かいに座っていた楓からどす黒いオーラが。


あー・・・・・・、ほら2人が騒ぎすぎるから。


ほんとの鬼が目覚めちゃったじゃんか。


「2人とも、バカなんだから真面目に勉強したら?」


「なんだ、と・・・・・・」


「なに、よ・・・・・・」


楓の言葉に反論しようとした2人が、ピシッと固まる。


さすがに感じ取ったらしい。


笑いながら怒る人って、ほんとに怖いよね。


「なんのためにここに来たの?」


「「す、すみません・・・・・・」」


さっきまで騒いでいた2人が嘘のように静まりかえって教科書と向き合う。


恐るべし、奥山楓。


紅雅は肩をふるわせて笑っている。


いや、気持ちは分かるけど。


笑ってやるなよ、あいつらも命は大事なんだよ・・・・・・。


こうして笑いあり涙あり鬼ありの勉強会は、深夜まで続いたのだった。


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