月夜に花が咲く頃に
なんか、暇になっちゃったな。


すっかり眠気も覚めてしまったので、むくりと身体を起こしてお茶を飲もうとキッチンに向かう。


冷蔵庫の中のペットボトルを取り出し、キャップを開けた瞬間、下の方からガンッ、とものすごい音がした。


その音を合図に、騒がしい怒鳴り声や殴り合う音が聞こえてくる。


どうやら喧嘩が始まったらしい。


さすがに気になって、幹部室を出て階段の踊り場に出た。


下を見ると、入り口付近で暁の男が一人頭から血を流して倒れていて、その横では紅雅を先頭に喧嘩が始まっていた。


紫樂はわざわざ大人数で来たらしく、暁のメンバーよりも人数が多い。


その上ナイフやら鉄パイプやらをその手に握っている。


何があったんだろう。


とりあえず、あの怪我してる男の手当てをしないと。


階段を急いで降りて、できるだけ目立たないように入り口の方へ向かった。


「ねえ、大丈夫?」


「あ、姐さん!?なんで下に降りて・・・・・・」


「私のことより、自分のこと心配しな。立てる?」


男に肩を貸し、部屋の隅に移動する。


喧嘩に巻き込まれないところまで移動してから、頭の傷の具合を見る。


ぱっくり割れたところから、血がまだ出てきてる。


「どうしてこんなことになったの。紅雅達なら話し合いだけで終わらせると思ったんだけど」


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