恋の休日
 渡した瞬間驚いていたけれど、すぐに笑顔に変わったので嬉しかった。

「今日から使わせてもらうね」

 玲人はボールペンを鞄にしまい、買ったクッキーを食べる話をしながら、電車に揺られた。
 電車を降りて帰り道を二人で歩いていると、サラリーマンが数人話しながら歩いていた。

「玲人君、明日は仕事なんだよね?」
「そうだよ」
「何? 寂しい?」
「寂しいね・・・・・・」

 言葉が続かず黙っていると、いつの間にか彼は自分の後ろを歩いていた。

「玲人くーー」

 玲人に手首を掴まれ、半回転して気づけば彼の腕の中にいた。

「そんなこと言われたら帰したくなくなる」

 耳元で囁くように言われ、史菜の顔が真っ赤になって俯いた。
 ぎゅっと力強く抱きしめられ、どうしていいのかわからずにいると顔を覗き込まれた。

「隠さないの」
「やっ・・・・・・」

 ちゃんと見るよう言われ、恐る恐る目を開く。

「やっとこっち見た」

 満面の笑みを浮かべる玲人に見惚れていると、両肩を掴まれた。

「史菜ちゃんが好き。これからも俺の隣で笑っていてほしい」

 玲人からの告白に嬉しさと恥ずかしさが同時に込み上げてきた。

「私も玲人君のこと好きです」

 自分の想いを伝えることができて笑みが零れた。
 返事を聞いた玲人も笑顔になり、そのままゆっくりと顔を近づけた。

「これから史菜ちゃんを独占させてもらう」

 互いの唇が触れ、背中に腕を回し、ぬくもりを感じた。
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