日替わり彼氏
全てのピースが、ぴたりとはまった。
だから、志保は殺されたんだ。
あの日替わり彼氏の、イケメンに。
そして私も__。
「まさかあいつが、そこまでやるとは思ってなかった。日替わり彼氏の中には、付き合いが成功してるカップルもいる。でも、なんだかお前のことが心配で」
だから、ずっと尾行してたんだ。
私を心配して、間一髪のところで助けてくれた。
大輔が居なかったら私は今頃、海の底に沈んでいたのか__。
「これで分かっただろ?とにかく、なにを聞かれても知らないで通せよ」
「でも__」
「どっちみちお前は殺してない。突き落としたのは俺だ。いざとなったら、俺が出て行く」
「それはダメだって!」
「いいんだよ。お前はなにも知らない。いいな!」
そう言ってバイクにまたがると、大輔はエンジンを吹かせた。
早く乗れ!と。
後ろにまたがり、腰に手を回す。
すぐにバイクは走り出した。
先生との思い出が、走馬灯のように流れていく。
嬉しかったこと楽しかったこと。
胸がはち切れそうなくらい痛む。
もう先生はいない。
私を殺そうとした先生が、思い出と一緒に風に吹かれて飛んでいく。
無かったことになんかできない。
忘れることなんかできない。
でももう。
なにもかも、忘れてしまいたい。