日替わり彼氏
先生が消えた。
ペンションで事故に遭ったらしい。
警察はすぐに私のことを調べ上げ、入籍していることも突き止められた。
両親には散々、怒られたけど、大輔に言われた通りペンションには行っていないと言い切った私の元へ、次第に警察は来なくなった。
それはどうしてか?
先生には、私以外にも交際していたと思われる女性がたくさん居たんだ。
日替わり彼氏を辞めると約束したのに、どうやら続けていたのかもしれない。そのおかげで、私の影が薄くなったのは有難いけど__。
「おはよう、智花」
ずっと親身に言葉を掛けてくれたのは、弥恵だけだった。
何かあったことに気づきながらも、無理に問い詰めてはこない。
冬休みだったのが幸いし、私が先生と付き合っていたことは周囲にバレなかった。白い目で見られることもなく、スムーズに始業に流れ込む。
「よう、元気なったか?」
大輔は相変わらず、屋上で寝っ転がっている。
あの日のことなんて何もなかったように、私に話しかけてくれた。
「うん、なんとか」
無理して答える。
今でもふと気を抜くと、先生の笑顔が浮かんでくるし、先生が私を殺そうとしたなんて信じたくない。
どこかで生きていて「ごめんな」と言われれば許してしまうそうな自分がいる。
先生を、愛していた自分が。