日替わり彼氏
「どんな会社をしてるんですか?」
「ネット関係のを幾つか経営をしているよ」
物腰も柔らかくて、さり気なく身につけているものも一級品ばかりだ。
社長さんなのに威張ることなく、私を気遣ってくれて、肩の力が次第に抜けていくのが分かった。
お弁当を作ってきたと言ったら、こっちがビックリするくらい喜んでくれて。
近くの公園で食べることにした。
「あの、どうして日替わり彼氏を?」
「そうだね。非日常を味わいたかったのもあるけど、正直に言うととにかく時間がなくてね。1週間で決めるスピーディーさに惚れたっていうか」
「忙しいんですね」
「能率の問題ね。ああだこうだ考えるより、お見合いみたいでいいかなって。こうやって智花ちゃんに会えたし」
「私なんか、全然モテないし」
「そんなとこも良いよ。これまでの彼女候補はみんな、自分に自信があって肉食系だった。僕はちょっとぐいぐいこられるのはね」
おにぎりを頬張ってくれる寺本さん。
口の端についたご飯粒を、私は取ってあげた。
「家庭的な子がタイプだから。もし結婚するなら智花ちゃんみたいな子がいいなぁ。あっ、ごめん。まだ学生さんだったね」
私は微笑みながら首を振る。
少しばかり、申し訳なくなりながら。