日替わり彼氏


「今日は本当にありがとう」


「こちらこそ、ありがとうございました」


最後は握手をして別れた。


本当なら、もっと私を選んでアピールをしたかったけど、寺本さんと話しているうちにそれが逆効果だと思ったんだ。


押すより、引いたほうがいい。


絶対に印象に残ったはずだ。


確かな手応えを胸に、私は土曜日を待った。


再デートに選ばれることが、次のステップだ。もし選ばれなかったとしても、逆転で日曜日に彼女に指名されることもある。


でもそれは、よほどのことがない限りは無理だろう。


再デートがない時点で、落選ということになる。


どきどきしつつ眠りについた__。


朝早く、スマホを確認すると、日替わり彼女からメッセージが届いていた。


【再デートに指名されました】


午後からの待ち合わせ場所が記載されている。


「よし」


とりあえず1000万円に近づいた。


あと一歩だ。


私には自信があった。


昨日のデートでの手応えと感触で、彼女に選ばれると確信しながら、再デートに向かう。


「また会えて嬉しいです」


はにかんでそう言うと、寺本さんも微笑んでくれた。


今日は水族館にデートをする。


さり気なさを装うには、格好の場所だ。


自然を装い、私を決定づける。


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