日替わり彼氏


少し気負っていたけど、そんな心配は無用だった。


たくさんの魚とイルカショーに、私自身がすべてを忘れて楽しんだからだ。


自然と2人で手を繋ぎあい、どこから見ても仲のいいカップルに見えるだろう。


レストランでご飯をし、別れの時間まであっという間だった。


楽しい時間は過ぎるのが早い。そう感じているのは、私だけじゃないはず。寺本さんもきっと__。


「本当は、再デートなんかする必要なかったんだよね」


「えっ?」


「僕の心は、もう君で決まっているから」


「ありがとう、ございます」


素直にお礼を言う。


これで、なにもかも解決だ。


ついでに、このままステキな彼氏もゲットできるとか。この2日、一緒に過ごしてみてとても居心地が良かった。好き嫌いはともかく、選ばれたからには付き合わないといけない。


いやいや辛抱して付き合うよりは、断然いい。


帰りの車の中は、和やかな空気に包まれていた。


明日、私は寺本さんの彼女になるだろう。


そう思い込み、車を降りようとしたときだった。


「1つだけ、聞いてもいいかな?」


「はい?」


「日替わり彼女で正式に選ばれると、借金がなくなるっていうのは、ホントなの?」


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