日替わり彼氏
それは、永遠にも思えた。
時が止まったように、私も寺本さんも動かない。
互いの息遣いさえ聞こえず__。
「本当です」
私は答えると、シートに座りなおす。
体がどこまでも深く沈み込んでいきそうだったけど、腹を決めた。
もしここで隠しても、バレる恐れがある。借金のことまで知ってるんだから、それが事実だと分かってて聞いてるんだ。つまり、私を試している。
「実は、親に借金があって。それで日替わり彼女に登録しました」
「__そうか」
「でも信じて下さい!私は本当に、寺井さんと付き合いたいと思ってます。その気持ちだけはウソじゃないです」
「わかったよ」
そう力なく言った寺本さんは、それからもう私を見ようともしなかった。
諦めて車を降りる。
なにか言いたかったけど、なにも言うことがない。
なにを言ったところで、ただの言葉の上塗りだ。
走り去っていく車を見送り、私は家に帰った。
完全にフラれたな。
借金なんかない!って、ウソをつけばよかったのか?
でももう今さら遅い。
そうなると途端に、1000万円が重くのし掛かってくる__。
諦めて寝ることにした。
明け方に目が覚め、ダメ元でスマホを確認する。
メッセージが届いていた。