日替わり彼氏
みんなが、ちらちらと見ている。
「ここじゃ目立つから」と、2人で並んで駅前に向かう。
西野さんは、大学2年生の20歳。
有名大学で単純に尊敬してしまう。身長が180㎝はあって手足が長く、薄めの整った顔立ちと清潔感ある短髪がとてもクールだった。
趣味や好みのタイプなんかを、歩きながら確認する。
「タイプは、年下の素直な子かな。つい守りたくなっちゃうようなね」
そう言って微笑む横顔は、とても優しそうだ。
「智花は?」と、呼び捨てで尋ねられた。
それも、ちょっと嬉しいかも。
確実にリードしてくれる、ちょい年上彼氏。
「私は、同級生の男の子はだめで。なんだか幼く見えて。だから年上の優しいひとがいいです」
「俺みたいな?」
「__はい。西野さんみたいな」
照れながら正直に言ってみた。
「西野さん、じゃなく名前でいいよ」
「拓也、さん?」
「呼び捨てでいいって。そのほうが恋人ぽいだろ?」
「はい。じゃあ、拓也で」
「おっ、よく言えました」
頭を軽く、ぽんっとされた。
私も背は高いほうだけど、20㎝差がある。
大きな拓也の大きな手で、よしよしされる。
それはもう、彼氏と彼女だった。