日替わり彼氏
「えっ、弥恵?どう、して?」
「どうして?なにが?」
そう聞き返す弥恵は、本当に分からないといった風に首を傾げた。
「どうして、ここにいるの?」
「ああ、そんなこと?私が呼んだからよ」
「えっ?」
「私が、先生の振りして呼んだからよ?ここに、この殺害現場に」
そう言うと、大きく息を吸い込む。
鼻から息を吐き出したときにはもう、私の知っている弥恵はいなかった。
冷たい目で、私を睨みつける。
「ここから、先生を突き落としたでしょ?くっだらない日替わり彼氏で付き合っただけじゃなくて、先生を突き落として殺したでしょ⁉︎」
「なんで、なんでそれを?」
「なんで?なんでなんでなんで?なんで知ってるかって?」
激昂していく弥恵は、怒りで顔を赤く染めていく。
「それはね、私が先生の彼女だからよ?」
「うそっ」
「ほんと。正真正銘、本命の彼女なの。日替わり彼氏とかじゃない、本当の彼女」
「__うそよ」
「うそじゃないって。全部、なにもかも全部、知ってたよ?日替わり彼氏で先生を選んだのも、2人が付き合ったのも、ここで先生が殺されたのも見てた」
「じゃ、先生は?」
「生きてるわけないじゃん、こんなとこから突き落とされて。先生はね、死んだよ?私の大切な先生は、死んじゃったんだよ」