日替わり彼氏
「先生は、私のことを愛してたよ?私も心から先生のこと、愛してた。だから許せたんだ、2人が付き合っても、どうせ先生は智花を殺すからね」
弥恵は、ずっと私を励ましてくれた。
どんなときも隣にいて、支えてくれた。
でもそれは、私のことを見張っていただけ。
自分の身代わりに、生贄として差し出していただけなんだ。
「そんなの、愛じゃない」
力を振り絞り、行き場のない思いを声にする。
「そんなの、愛なんかじゃない!」と。
「日替わり彼氏なんかで相手を探すひとに言われたくないなぁ。しかも今度は、日替わり彼女?」
「それは脅迫されたから」
「先生のこと殺したの忘れて、新しい彼氏とやってくの?でもそのお金、返していける?」
小馬鹿にしたように、私に問いかける。
「弥恵は、何が目的なの?」
「目的?」
「そう、私にどうしろって言うの?」
「なによ、開き直って。そんなの簡単じゃん」
そう言うと、弥恵はポケットから折りたたみナイフを取り出した。
刃先を出して、私に向かって突き出す。
逃げようにも、後ろは崖だ。落ちたら命はない。
「先生の敵討ちだよ」
「やめて」
「死ねよ」
ぼそりと呟き、弥恵が突っ込んできた!
「うっ⁉︎」
ナイフが、深々とお腹に突き刺さる。