日替わり彼氏
膝から崩れ落ちる、大輔。
弥恵がナイフを引っこ抜くと、血がどばどばと流れ出す。
「どうして、ねぇ、どうしてよ⁉︎」
仰向けに倒れる大輔を後ろから支えるけど、見る見るうちに顔色がなくなっていく。
「お前がっ、気に、なって」
「そんなっ、誰か!誰か助けて!」
どれだけ叫んでも、海風にかき消されていく。
そして大輔は、私の腕の中で息を引き取った。
「あーあ、あんたのせいでまた死んじゃったね」
顔を上げると、弥恵がせせら笑っている。
「なに泣いてんの?全部、あんたのせいじゃん」
「違う」
「違わない。先生も坂口も、全部あんたのせいで犬死にしたんだよ」
「違うってば!」
怒りに突き動かされ、私は勢いよく立ち上がった。
「なに?私も突き飛ばす?それとも刺し殺す?」
そう言いながら、じりじりと詰め寄ってくる。
その手にナイフを握りしめたまま。
「許さない」
「それはこっちのセリフ!」
弥恵が一気に突っ込んできた!
わずかに体を逸らし、間一髪のところで避ける。
肩と肩がぶつかったけど、崖下に落ちなくてもすんだ。
振り向いた弥恵が再び向かってくると、私は身構えたけど__?
弥恵のお腹に、ナイフが突き刺さっていた。