日替わり彼氏
2人でカフェに入る。
拓也はクールだけど、とても紳士的で__。
ドアを開けたまま、私を先に通してくれるし、椅子まで引いてくれた。
私の周りに、こんなことをしてくれる男子はいない。
常にレディーファーストで、お姫様になった気分でパフェを注文した。
改めて向かい合う。
やばい、カッコいい。
もう、決まりかも。
外見は志保の彼氏と同じくらい、でも拓也には気遣いがある。
他にお客がいるのに、志保にベタベタしていた日替わり彼氏より、ずっとか常識的に見えた。
会話を聞き出すのもうまく、学校の話なんかを自然としているうちに、緊張も取れて打ち解け合う。
「拓也は、彼女とか居ないの?」
質問してから、自分でもおかしなことを訊いてしまったと思った。
彼女を探しているから【日替わり彼氏】に登録したはずだ。
でも__と思う。
拓也なら、こんなのに登録しなくても、普通に彼女ができるんじゃないか?
私の疑問に対する答えに、パフェを食べるスプーンを落としそうになった。
「いるよ」と拓也が言ったからだ。
「彼女なら、いるよ」と。
やっぱり、いるんだ?それなら、どうして日替わり彼氏なんかやってるの?なにか意味があるの?
ひょっとしたら、これがアルバイトとか?
急激にがっかりした私は、大きくため息をつく。
せっかく彼氏ができたと思ったのに__。