日替わり彼氏
真司くんとのデートは、とても楽しかった。
同じ高校生だということもあって、クレープを買い食いしたり、ゲーセン行ってプリクラやクレーンゲームしたり、カラオケしたり。
まったく気を遣うことがなくって、完全に素の自分でいられた。
これって、付き合ってく上で大事じゃない?
その間も「可愛い」「好きになっていい?」「もう離さないから」と、真司くんは私にべったりで。
私たちはずーっと手を握り合っていた。
家の前まで送ってもらい、そろそろお別れの時間だ。
「今日はありがとう」
私がそう言ったとき。
ふっと近づいてきた真司くんの唇が、私の唇に触れた。
えっ、キス?
ふんわりと甘いキス。
「こんなことしたら、失格になるんだけど。それでもいいから、僕は智花とキスしたかった」
ここぞという時は、呼び捨てなんだ。
それもキュンとする。
「ホントに楽しかった。また会うときは、彼氏彼女だね」
そう言って去っていく、火曜日の彼氏。
部屋に戻ったけど、まだキスの余韻が唇に残っている。
どうしよう?
月曜日にするか、火曜日にするか。
でも待って。
もしかしたら、それ以上の彼氏が水曜日に現れるかもしれない。
そう思うだけで、私はなかなか寝つけなかったんだ。