日替わり彼氏
どきどきしながら、玄関から顔を出す。
でも、今日は誰もいない。
一緒に登校するわけじゃないのか。それはつまり大人彼氏かも。学生じゃないくらいの大人とかも憧れるんだけど。
弥恵に話しかけられても、我ながらの上の空。
授業にも身が入らず、放課後が近づくにつれて緊張していく。
今のところ、拓也か真司くんのどっちかだ。
なかなかここに割り込んでくるくらいのイケメンは居ないだろう。
「智花、一緒に帰ろう」
今日は部活がないからか、弥恵が声を掛けてきた。
「あっ、でも」
「なに?誰かとデートとか?」
「そんなんじゃないけど、ちょっと待ち合わせというか、なんというか」
私が少し動揺していると、弥恵はがしっと腕を掴んでくる。
「なにそれ、紹介しなさいよ!」
「いや、それは__」
「いいじゃんいいじゃん!」
弥恵に引っ張られて、校舎を出た。
水曜日の彼氏候補を弥恵に見てもらうのもいいかも。
あんまりカッコよすぎてビックリする顔を見るのも面白い。
2人で校門を出た。
道路を挟んでその向こう側に、1台の高級車が止まっている。
あれだ。
すぐに分かった。
待望の大人彼氏が、車から降りてくる__。
えっ?