日替わり彼氏


3人で駅前のカフェに入った。


その間もカップルの2人は、ずっと手を握り合ってお互いから目を離そうとしない。


あまりの出来栄えの違いに、ちらちらと店内のお客も視線を投げかけてくる。


そんなことには動じず、ラブラブの2人。


声を掛け、本当の仲を暴いてやろうと思った。


実はお金で飼っているとか?


たまにレンタル彼氏なんてワードも耳にするし。


でも__目の前でいちゃついている2人は、悔しいけど本物だった。


「なんか久しぶりだね、智花」


「あっ、うん」


「元気だったー?」


軽い口調で話しかけている志保に、適当に返事をする。


くっそ、なんか上からじゃない?


ちょっと彼氏ができたからって、彼氏いない私のこと下に見てない?どっからどう見ても、あんたより可愛いんですけどー?


それなのに、イケメン彼氏は私のほうを見向きもしない。


いつも自信なさげに俯いていたのに、彼氏ができると、こうも変わるものか。


「ねぇ、2人はどこで知り合ったの?」


クラスが離れている志保とは、そもそも接点がない。


私がそう尋ねると、2人は熱く視線を絡める。


ああ、腹立つ。呼び止めた私が馬鹿だったわ。


さっさとパンケーキ食べて帰ろうと思っていると、イケメン彼氏が席を立った。


すると前かがみになった志保が、秘密を打ち明けるように言ったんだ。


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