日替わり彼氏
次の待ち合わせ場所に向かう。
それは【学校】だった。
土曜日でも部活に来ている生徒が多く、校庭は賑わっている。
私服のため中に入るわけにもいかず、校門の前で彼氏候補を待つ。
このデートで、すべてを決めなければいけない。
どっちを選ぶのかを__。
ふと、私は顔を上げた。
音が聞こえてきたからだ。
バイクの音が。
爆音を轟かせたバイクは、私の前で止まった。
「ほらよ」
1回目のデートと同じように、ヘルメットを投げてよこす。
もう、髪の毛がぺったんこになるんだけどな。でも、そんなことこいつは気にしないだろう。
渋々、ヘルメットを被ってバイクの後ろに乗った。
「ちゃんと捕まってろよ」
そう言って、木曜日の彼氏候補だった大輔がバイクを走らせる。
すぐに車の波に乗り、私は大輔の腰に手をしっかりと回したまま、背中に頬をくっつけた。
この、風になる感覚、好きかも。
これを味わいたくてまた、再デートに選んだって知ったらこいつ、怒るかもね。
頭をからっぽにして、流れていく景色を眺めていた。
なにも考えたくない。
考えることが多すぎて、今だけはなにも考えたくなかったんだ__。