日替わり彼氏
「また、海でいいか?」
大輔にそう訊かれて、私は素直に頷いた。
1回目と同じデートコースなんて、なんの工夫もないし面白味もないけど、純粋にまた海に行きたいと思ったからだ。
砂浜を歩く。
少し冷たい海風が頬を撫でていき、気持ちがいい。
月曜日から日替わりで色んなデートをしていたので、ちょっと疲れたのかも。なにも考えずにいい時間に、心が安らいでいく。
まさか、それを計算してここに__?
前をブラついている大輔の金髪を、私はぼんやりと眺めていた。
どうして再デートに大輔を選んだのか?
それは、聞きたいことがあったんだ。
「ねぇ!」
風に負けじと、大きな声を出した。
大輔が振り返る。その顔は、いつも周りを威嚇しているヤンキーじゃなくて、とても自然だ。
「どうして、日替わり彼氏なんかやってるの?」
そう尋ねると、少し驚いたように目を開いた。
ずっと気になってたんだ。
大輔は、こんなのに参加するタイプじゃない。
ほかの参加者のように、女子が喜ぶようなセリフを口にしたり、ムードを作ったり、デートを演出したりする感じじゃない。
それでも前のデートのとき「俺にしとけ」と言った言葉が、あまりに真に迫っていて__。