日替わり彼氏
きっと、なにか特別な【理由】があるはず。
「それは__」と、言葉を詰まらせる大輔。
その表情はどこか苦しそうで、ただ恋人が欲しいなんていう私とは、抱えているものが違うと感じたんだ。
大輔は、無言で私の前までやってくると__。
「俺を選べよ」
それだけ言って、私を強く抱きしめた。
そうしないと、なにかが壊れてしまうように。
「俺を彼氏にしろ」
それは、命令というよりは願望のようであり、抱きしめる強さが大輔の必死さを物語っている。
「もし、選ばなかったら?」
「えっ?」
「もし私が選ばなかったら、どうなるの?」
「それは__」
再び、言葉に詰まった大輔は、ヤンキーとは思えないくらい歯切れが悪い。
もう時間がない。
再デートは1度まで。
その間に、彼氏を決めなければいけない。
「なにか理由があるなら、ちゃんと教えてほしいから」
胸に顔を埋めたままそう言うと、かたい抱擁が解かれた。
腹を決めたのか、真剣な眼差しの大輔が私を見下ろす。
「もし彼氏に選ばれなかったら__」
やっぱり何かあるんだと、次の言葉を待った。
もし、選ばれなかったら?
「俺たち日替わり彼氏は」
そこまで大輔が口にした時、突然、口笛が鳴った。