日替わり彼氏
はっと体を離すと、柄の悪い男たちに取り囲まれていた。
「抱き合っちゃって。俺たちにもおすそ分けしてくれよ」
いきなり、側にいた男に腕を乱暴に引っ張られ、バランスを崩し転びそうになったところを、別の男に抱きつかれた。
「てめぇ、ぶっ殺すぞ!」
威嚇するより先に、大輔は近くにいた男を殴りつけた。
鈍い音がして男が倒れたのを合図に、一斉に襲いかかる。
1対6。
「彼氏くん、気の毒だな」と、私を捕まえている男は余裕の表情だ。
いくら腕っぷしの強い大輔でも、数には勝てないだろう。どんどんと顔が血に染まっていく__。
「俺の女に触らせるかよ!」
でも私は気づいたんだ。
あの血は、大輔が流した血じゃない。
大輔に殴られている男たちが噴き出した、返り血を浴びている。
「お、おい、マジかよ?」
ようやく隣の男も気づいたのか、私を捕まえる力が緩み逃げ腰になっていく。
あっという間に、男たちが砂浜に突っぷして__。
「てめぇ、触っただろ?」
逃げようとした男を引き倒し、大輔は馬乗りになって顔面を殴りつける。
何度も何度も、男はもうぐったりしているというのに、その手が止まることはなかったんだ。