日替わり彼氏


無言のまま、私は大輔と別れた。


なにかを言おうとすると、血に染まった鬼の顔が脳裏に浮かぶ。


それは、私が知らない大輔の一面。


それも踏まえて、答えを出さなくちゃいけない。


今から、日替わり彼氏から本命を選ぶ。


私は、拓也と大輔を再デートに選択した。


拓也はこれぞ理想の彼氏という、年上ならではの余裕は一緒にいて心地良いもの。2回目のデートで、そんな思いがより強くなった。


大輔との着飾らないデートも、自分に1番近い気がして楽しかった__のに。


私は忘れていたんだ。


坂口大輔というヤンキーの、血の気の多さを。


周りの評判とは違い、不器用ながらも優しく接してくれる大輔を、自分のいいように見ていたんだ。


私を守ってくれたけど、人が変わったように殴りつける光景が、頭から離れない。


そうなると、答えは1つ。


月曜日から金曜日まで日替わりで違う彼氏候補とデートをし、土曜日に再デートをした。


そして、日曜日に自分が決めた彼氏と、晴れてデートをする。


『誰を彼氏にしますか?』


スマホの画面を睨みつけ__私は1人を選んだ。


彼氏を決めたんだ。


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