日替わり彼氏


「ちょうど今、キャンペーン中だから登録料もいらないみたい」


志保のスマホのQRコードを読み取り、私は自分のスマホに【日替わり彼氏】を取り込んだ。


まだいまいち信用できないけど、タダなら試してみてもいいかな。


名前と生年月日、住所なんかの個人情報を登録する。


結構、細かい。


少しメンドくさくなっていると__。


「日替わりで彼氏は月曜日から始まるの」


「月曜日?」


「そう。月曜日から金曜日まで5人の彼氏候補とデートをする。そしてその中から2人に絞り込んで、最終的に1人を選ぶってわけ」


「へぇー」


それはちょっと面白そうかも。


「でもさ、全員タイプじゃなかったら?」


「大丈夫だよ、5人もいるんだから。私の時はみんなそれぞれタイプが違って、どの人もカッコよかったよ?」


「決め手はなんだったの?」


私が尋ねると、可愛らしく首を傾げている__けど、志保はブスなんだよなぁ。


「そりゃ、1番カッコよかったからよ。それに、私と付き合いたくて必死で頼み込んできたし」


「そう、なんだ」


じゃ決定権は全部、こっちにあるってこと?


向こうが断ることもない?


色々と訊きたいことがあったけど、イケメン彼氏が戻ってきた。


それからすぐ私は志保たちと別れた。


腕を組んで歩いていく後ろ姿を、私はずっと見つめていた。


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