日替わり彼氏
どうやら私は、海に縁があるらしい。
先生が予約してくれたレストランからも、海が一望できる。
でも、デブの増田に連れていかれた三つ星のお店や、大輔と歩いた浜辺より、先生と見る海は格別だった。
「じゃ、乾杯しよう」
先生はシャンパンで、私も飲みたいと言ったけど「生徒を酔わせるわけにはいかない」とジンジャエールだ。
もう、目の前の先生に酔いしれてるのに。
グラスだけ同じシャンパングラスにしてもらい、雰囲気だけでも味わう。
「俺の彼氏昇進に、乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせ、私はジンジャエールを飲んだ。
子供扱いされるのは、ちょっと嫌だけどね。
「1つ聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「どうして、先生を選んだんだ?日替わり彼氏はあと4人いただろ?」
「それは__」
なんて答えていいか、少し考える。
答えは明白なのに、それを言葉にするのが恥ずかしい。
「答えないなら、無理やり聞き出すけど?」
先生はもう酔ったのか、目がとろんとしている。
「む、無理やりって⁉︎」
「襲っちゃうってこと」
「えっ⁉︎」
「なに驚いてんだよ?先生は彼氏なんだから当然だろ?俺は__智花を抱きたい」
その瞬間、頭がぽーっとして。
なにを食べたのか、どんな味だったのか、私は全く覚えていなかったんだ__。