日替わり彼氏


秘密の恋は、私の独占欲を刺激する。


先生は生徒たち、特に女生徒から人気があった。


校則や身なりに厳しい反面、生徒の相談にも真剣に乗ったりと信頼がある。笑うと顔が優しくなるのも、乙女心をくすぐるんだ。


「三井、ありだよね?」


「ありあり。付き合ったら甘えてきそう」


「ギャップ萌えってやつ?」


ガールズトークに、先生が登場することは多い。


会話に適当に参加しながら、心の中でほくそ笑む。


『そう、先生は甘えてくるよ__この私にね。それだけじゃない。意外といびきがうるさいし、ピーマン嫌いだし、キスが上手い。私はあんたたちが知らない先生を、いっぱい知ってるんだから』


「こないだ誰かが告ったらしいけど、見事玉砕」


そりゃそうだろうと、一人で納得する。


「先生と生徒だからとかじゃなく、好きな人がいるって断ったらしいよ?」


「へぇー、彼女いるんだ?」


そう言った弥恵が、私を見る。


その眼差しは、なぜか意味深な気がして__。


やっぱり、弥恵にバレてる?


そんな私の心配は、次の瞬間に砕け散った。


「私、こないだ見たんだよね。三井が彼女と歩いてるところ」


えっ__?


先生を見たと話す子は、私を見ながら言ったんだ。





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