日替わり彼氏
大学生の、女?
「それっていつのこと?」と、私が聞きたかったことを、弥恵が代わりに聞いてくれた。
「こないだの土曜日」
土曜日?
本当なら私とデートするはずだったのに、学校の会議が入ったからとキャンセルになったんだ。
そもそも、土曜日に会議なんてあるのか?
「それもさ、こっから1時間くらいかかるところで見たの。なんか、バレるとまずい感が凄くね?」
みんなが驚いているからか、調子に乗って話は続いていく。
「んで、昨日だっけ?三井に行ったわけ、見かけたんですけどー?って」
「先生、なんて言ったの」と、弥恵が促す。
「そりゃ、勘違いだって言うっしょ?でも、ちょっとキョドってた、あの三井がさ。だから間違いないよ」
自信満々に言うけど、私は信じなかった。
なにか証拠でもあるならとにかく、ただ見かけただけって、人違いに決まってる。
だって、先生は私の彼氏なんだ。
ちょっとでも疑った自分が嫌になる。先生に限って【浮気】なんかするはずがない。
私を裏切るわけがない。
それでも__一度、芽生えた黒い感情はなかなか消え去ってはくれなかった。かといって、問い詰めて嫌われたくない。相談する相手もいない。
信じるしかないんだ。
好きだから。