日替わり彼氏


大学生の、女?


「それっていつのこと?」と、私が聞きたかったことを、弥恵が代わりに聞いてくれた。


「こないだの土曜日」


土曜日?


本当なら私とデートするはずだったのに、学校の会議が入ったからとキャンセルになったんだ。


そもそも、土曜日に会議なんてあるのか?


「それもさ、こっから1時間くらいかかるところで見たの。なんか、バレるとまずい感が凄くね?」


みんなが驚いているからか、調子に乗って話は続いていく。


「んで、昨日だっけ?三井に行ったわけ、見かけたんですけどー?って」


「先生、なんて言ったの」と、弥恵が促す。


「そりゃ、勘違いだって言うっしょ?でも、ちょっとキョドってた、あの三井がさ。だから間違いないよ」


自信満々に言うけど、私は信じなかった。


なにか証拠でもあるならとにかく、ただ見かけただけって、人違いに決まってる。


だって、先生は私の彼氏なんだ。


ちょっとでも疑った自分が嫌になる。先生に限って【浮気】なんかするはずがない。


私を裏切るわけがない。


それでも__一度、芽生えた黒い感情はなかなか消え去ってはくれなかった。かといって、問い詰めて嫌われたくない。相談する相手もいない。


信じるしかないんだ。


好きだから。


< 75 / 142 >

この作品をシェア

pagetop