日替わり彼氏


「ちょ、あれって⁉︎」と、私の選んだ彼氏が先生だと気づいた大輔は驚いていたけど、今は必死で車に食らいついている。


意外と運転が荒い先生と、意外と安全運転な大輔は正反対だ。


車は滑らかにスピードを上げ、私たちを引き離していく。


会議があるとウソを言って、どこに行くのか?


大学生の女と浮気している?


先生に限ってそんなこと__私は信じたい。信じるためにこうして尾行しているんだ。


信じるために__。


なんとか見失うことなく、車は駅にとまった。


誰かを待っている?


これって、私と待ち合わせるやり方と同じ。学校関係者に見られないよう、1時間かけて離れたところで落ち合う。まったく同じじゃないか。


「来たぞ」


車に向かって手を振っているのは、少し年上の大学生ぽい女だった。


親しげに先生となにかを話し、助手席に乗り込む。


「行かなくいいのか?」


大輔が振り返るけど、私はぼーっと2人が乗った車を見送った。


後なんかつけなくても、行くところは私と同じ。


「大丈夫か?」という大輔の言葉も、素通りしていく。


先生は、浮気をしている。


私がこんなに信じていたというのに__。


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