日替わり彼氏


まさか、日替わり彼氏にそんな秘密があったなんて。


しかも高校生で結婚?


騙されているんじゃないかと勘ぐったけど、いくらなんでも結婚まではしないだろう。志保の彼氏の、志保しか見えていない態度からして、きっかれはなんであれ、本当に自然な流れなのかも?


とはいえ、どうしても胸のもやもやは晴れない。


前より一層、霧が濃くなっている感じがする。


このままじゃ、なにもかも崩れてしまいそうで。


『話があるので放課後、美術室で待ってます』


メッセージを送った。


怖がっていないで、確かめないと前に進めない。


がらんとした美術室で1人、先生を待つ。


「どうした?」


学校内で呼び出したことに怒っているのか、先生は険しい顔をして入ってきた。


それを見ると言葉が喉に詰まったけど__。


「せ、先生、浮気してますよね?」


「浮気?」


「私、見たんです。こないだの土曜日、先生が女のひとと会ってるの」


とうとう言ってしまった。


答えがどうであれ、もう後戻りはできない。


「そうか。それで日曜日、用事ができたわけか」


「会いたく、なかったから」


そう言うと、先生の顔が少しだけ歪んだ。


沈黙が私たちの間に流れ、窓の外を見る先生の顔を、私はずっと見つめていた。


やがて私に視線を合わせると、大きく息を吐く。


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