偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「僕のそばに居れば…大丈夫ですよ。杏花」

僕は彼女の緊張を解そうと耳許で囁く。
僕の息が鼓膜を擽ったのか小さな彼女の肩がピクンと僅かに動いた。

「玲人さん…ワザと息を・・・」

杏花は上目で僕を睨む。
「僕は別に…」

その上目遣いに艶を感じて心臓が大きく跳ねた。

「僕は別にワザとしてません…ともかく行きますよ…」


「何だか凄く仲いいですね…支社長」

僕と杏花の掛け合いを見て、保はクスリと笑い、冷やかす。

「僕たちは別に…」

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