偽装ウエディング～離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。～

離婚前夜

玲人side~

僕は杏花を抱いてしまった。
あれから、一ヵ月半。

僕も杏花のあの日の夜の出来事にはワザと触れないようにしていた。
そんな矢先の支社長解任と帰国。

出店先の国の情勢を見て、出店を断念してしまった。

帰国した日が僕たちの離婚日。

それが最初に交わした約束。
僕はテレビ電話で、自分の帰国を杏花に伝えた。

僕の口から言いかける前に杏花の口から離婚の言葉が出る。

引っ越しの準備をしながら、ボーッと考え込む。

「おーい。玲人お前…手が止まってるぞ」

俺の引っ越しの手伝いをしていた保が僕に話し掛けた。

「すいません…考え事をしてました…」

「お前…杏花さんが帰国してからおかしいよな…何かあったのか？」

「いえ…別に何も…」