偽装ウエディング～離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。～

春先の東京。
成田空港。

僕は半年振りに帰国した。
「お帰りなさい…玲人さん」

「ただいま…戻りました。杏花」

いつものように美しく着飾った杏花が僕を出迎えた。
ヘアもメイクも服装も完璧だけど、何処か疲れているような雰囲気の杏花。

「仕事でお疲れですか？」

「いえ・・・大丈夫です。早く行きましょう…玲人さん」

「そうですね…」

「…玲人…頑張れよ…」
と僕のそばに居た保が耳打ちして、ガッツポーズを作り僕を励ました。



「では、保…本社で逢いましょう」

「あぁ、じゃ杏花さん…玲人をよろしくね…」

「あ、はい…」

保の方が先にエアポートリムジンバスの停留場に向かい、キャリーケースを引いて行ってしまった。