偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
ハイヤーで自宅マンションに向かう。

「ドバイからの荷物か届いていましたよ…」

「そうですか…」

「玲人さんの書斎に運び込んで貰いましたから…」

「分かりました…」

「コーヒー淹れますので待って居てください…」

杏花は僕の顔を全く見ようとしなかった。
―――随分と嫌われてしまいましたね…

保には頑張れと励まされましたが、僕たちはどうやらおしまいのようです。

僕はソファに腰を下ろして辺りを見回す。

二年半前と変わらない室内。

結局、彼女は僕が住んでいたままで模様替えはしなかった。

「コーヒー淹れましたよ…」

僕はソファから腰を上げて、ダイニングテーブルの椅子に腰を下ろし、杏花と向かい合わせでコーヒーを啜った。

「これ…」

ダイニングテーブルに置かれていた封筒を僕に渡した。

封筒の中身は離婚届の用紙。
既に、杏花の名前と捺印がされていた。

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