偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
『東亜医科大付属病院』救命救急センター。
玲人さんは悪阻で苦しむ私を強引に連れ出し、東亜まで連れて来た。


「何だ!?玲人…帰国したのか??」

幸人さんが当直医だった。

「杏花が気分悪いと言うか…」

「食中毒か?」

「いえ…違います…幸人さん」

由夢さんは私との約束を守ってくれていた。

検査薬で調べただけで、まだ正式な妊娠検査や診察は受けていなかった。

「じゃ何?」

「何って…」

「・・・妊娠してんだろ?」
由夢さんは私の妊娠を幸人さんに告げていた。
「えっ!?」

玲人さんは絶句した。

「杏花…それは本当ですか?」

「・・・槇村先輩呼んであげるから…待ってて」

「えっ!?あ・・・」

玲人さんは私をジッと見つめる。彼の視線が怖い。

「…本当なんですね…どうしてそのような重要なコトを隠していたんですか?杏花」

「…この子は私一人で育てます!!」

「・・・いいえ・・・そんなコトは許しません!!杏花」

「おいおい…こんなトコで…夫婦喧嘩はしないでくれ…」

幸人さんは院内携帯で奏弥先生を呼んだ。

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