偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「杏花に柚人」

玲人さん達がパラソルの下に入って来た。
照り付ける灼熱の太陽に参ったようだ。

「休憩です…花に凛人、ちゃんと水分補給しなさい。熱中症で倒れますよ…」
「玲人さんに言われなくても、二人共ちゃん水分補給してますよ…玲人さんの方こそ、飲んで下さい」
と彼に私が冷たい麦茶を差し出す。

「杏花…お腹の方は大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」

私のお腹には第四子となる子が宿っていた。

六か月のふっくらとしたお腹に玲人さんの手が触れる。
「今度も三つ子だと言われたら、どうしようかと思いました」

「一人で良かったですね…玲人さん」

「えぇ~」

三人の子供たちの小さな手も私のお腹に触れて来た。
皆…新しい家族の誕生を待ちわびていた。

        (完)
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