偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
私はシャワーを浴びる。
バスタブは広く、バスルームの壁面や床は大理石。
スイートでも最高級クラスに近いエクゼクティブルームかもしれない。
玲人さんは一人で宿泊するつもりでリザーブしたのかな・・・
朝からラグジュアリーな空間に癒され、カラダから毒素が抜けて、清々しい気分でバスローブを着た。
彼の元に戻ると二人掛けの重厚なダイニングテーブルには朝食が用意されていた。
玲人さんは先に腰を下ろし、真剣な顔でタブレットを操作していた。
「お待たせしました」

玲斗さんは私の方を振り返り、軽く笑みを添え、話し掛けた。
「杏花さんはコーヒーで良かった?」

「はい」

「そう、良かった」
玲人さんは手許に持っていたタブレットの画面をスリーブさせ、テーブルの端に置いた。

私が目の前の腰を下ろすと『頂きます』と手を合わせた。
私も彼に続いた。

「玲人さん、一つ質問していいですか?」

「どうぞ」

「私達、同じベットで寝たんですか?」

「寝てませんよ。僕はソファで寝ました。酔っている貴方に服を脱がれ、誘惑されましたけど」

玲人さんは喉の奥で噛み殺すように笑う。

「・・・私は身に憶えがないんだから・・・笑わないで下さい。恥ずかしいです」

「全く憶えていないんですか?僕に抱きつき、キスしたコトも?」

「えっ!?」
< 23 / 136 >

この作品をシェア

pagetop