偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「それは私に女性としての魅力がないってコトですか?」

「僕の言葉、気に障りました?」

「障りました」
私は少し語気を強めた。
「昔と変わりませんね。その強く迫って来る所は・・・」

彼の切れ長の瞳がノスタルジックな色に染まる。

「貴方はあの夏も勉強すると言い放った僕の腕を掴んで、海岸に連れ出した。友達とサーフィンをする修人見たさに・・・訊きたくもない修人に対するキモチを訊かされて、泣かれ、いい迷惑でした・・・」

当時を思い出し、玲人さんは顔を顰め、スクランブルエッグを口に運んだ。

「でも、あの時は真剣に慰めてくれたでしょ?玲人さん」

「自分が泣かした思われるのは嫌でしたから。必死に泣き止まそうとしただけですよ」

「それだけですか?」

「何が言いたいんですか?」

「何も言いたいコトはありません」

初恋は実らなかったけど、私だってそれなりに恋愛経験は積んだ。
でも、友永先輩は恋愛対象外だった。
玲人さんのおかげで未遂で済んだけど、事実なら絶対に許してはならない。
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