偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「ペーパーマレッジで、結構です…僕のコトはATMと思って貰っていいですよ。杏花さん」

「ATMって・・・」

「貴方だって…僕の生い立ちを知ってるでしょ?僕には全く結婚願望がないんです…僕は愛人の子。
副社長の椅子を修人から奪うのに…どれだけ・・・努力したコトか…ドバイで結果を残さないと…僕には…」

「いつ発つんですか?」

「月末です…それまでに女将への挨拶。入籍を済ませる予定です」

「じゃ私は日本に残って…」

「えぇ~貴方には僕が今住んでいるマンションを差し上げます…僕の妻として住んで下さい…生活費はキチンと貴方の口座に振り込みます…」

「…じゃ貴方を帰りを待てばいいんですね…」

「はい…でも・・・僕は成果を残すまでは日本に帰る気はないです…成果を残し、日本に戻った日が僕たちの離婚日ですので…よろしくお願いします…」


「えっ!?」

「…これは海外赴任する為の偽装結婚です…雅さん相手にこんな結婚は言い出せなかったので、お断りしました」


彼は私に妻と言う形だけを求めていた。

「キスはしたけど…貴方に男として触れる気はないですよ…」

彼は何度も形だけだと強調した。

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