偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「塩崎さん、この書類を「マーケティング部」の赤坂部長にお願い」

「承知しました。社長」

私は白石樹生社長から書類を受け取り、社長室を出て行く。


玲人さんがドバイに行ってあれから二年の月日が流れた。

その間に、白石達生社長は会長職となり、あの樹生さんが社長に就任。

私は彼の第二秘書となり、共に仕事をしていた。
まだまだ、秘書としては半人前の私は身だしなみだけでも、整えようと努力した。
清楚で上品に見えるようなナチュラルメイクを顔に施した。
肌は透明感のあるファンデーション。
目許はブラウン系のアイライン。
口許は血色感が持続できるようなピンク系のリップを塗った。
恰好もスーツの時もあれば、パンツスーツの時もあり、常に見た目に気を遣った。
書類を受け取ったけど…
―――余り近寄りたくない『マーケティング部』

そこには友永先輩がいるから。

離婚すれば、旧姓に戻るコトだし、最初から会社では旧姓で通した方がいいと玲人さんに言われ、旧姓の塩崎で仕事をしていた。



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